社長からのメッセージ

過去にない規模の環境変化を
飛躍的成長の機会と捉える

2030年のありたい姿からのバックキャスティングで中期経営計画を策定

新型コロナウイルスの感染拡大によって、激変の時代に突入しています。企業がこの未曾有の環境変化を飛躍的な成長を遂げる絶好の機会と捉え、大胆な変革を推し進めていかなければなりません。「中期経営計画(2021~2025年度)」(以下、新中期経営計画)には、“イオンのありたい姿”を実現するため、私たちの様々な想いを込めています。新中期経営計画はグループ内で環境認識を共有するところからスタートし、現場の声を活かし、持株会社と事業会社のベクトルを合わせるというインタラクティブなプロセスを通して作り上げました。従業員全員が“自分ごと化”し、理解し納得して計画を策定することで、現場レベルに戦略が浸透し、確実に実行されることを重視したためです。
もう1つの重要な点は、このありたい姿を明確にしてから2025年度までに達成すべきことをバックキャスティングで設定したことです。2025年度は、2030年に向けて持続的成長を実現するための基盤確立を目指します。これまでの3カ年ではなく、5カ年の計画として、既存事業の延長線ではなく、大胆な事業構造の変革を実現します。

アフターコロナを見据え、重要な環境変化を全員で共有

新型コロナウイルス感染拡大は事業に大きな影響を及ぼしたものの、イオンの特長であるマルチフォーマットと、中国?アセアンの事業展開が補完機能を果たすことでダメージを最小化し、レジリエンスを示すことができたと思っています。私たちが最も大切にしたことは、現場における安全?安心の担保です。最前線の従業員が高いモチベーションを持って様々な局面を打開し、お客さまから支持されたことにより、現場の強さと重要性を再認識しました。
デジタル化の加速、気候変動の影響、アジアの興隆、製造業と小売業の境界線の消滅といった変化は、コロナ下で大きく加速し、直接的かつ複合的に私たちのビジネスに影響を及ぼします。まずはイオンにとって重要な環境変化を認識し、その意味合いを捉えて2025年度までに達成すべき5つの変革を策定しました。

強い小売の復活によって活力が戻りグループ全体の成長力を高める

コロナ前のグループ全体の営業利益は、ディベロッパー事業、総合金融事業、ヘルス&ウエルネス事業の合計で8割を占めていましたが、今後は、小売事業の利益構成を上げ、活力を取り戻すことで全体を成長軌道に乗せていきます。
小売事業の復活には、独自性のある商品の提供が企業競争力の源泉になると考えています。業態やチャネルの垣根が無くなる中で、他社との差別化を図るためには、企業の顔ともいえる商品開発の強化は不可欠です。従来のプライベートブランド商品はナショナルブランド商品よりもお値打ち価格で提供できるという点でお客さまから支持されてきました。今後は、イオンの企業理念を体現するプライベートブランド「トップバリュ」をさらに進化させ、ナショナルブランドが手掛けていない領域?機能を取り入れた商品や、環境配慮型の商品、健康を配慮したヘルス&ウエルネス商品を拡大していきます。お客さまや生産者、お取引さまなどすべてのステークホルダーをつないでいる私たちが要となって、利便性、美味し さ、先進性、独自性のある商品を作り上げ、これまでにない商品の展開を実現します。

オンラインプレイヤーにはない、イオンならではの資産を活かす

デジタルシフトはすべての戦略を進めるうえでの基盤となるものであり、最も優先順位の高い取り組みです。これまでのリアルかつ物販中心の販売から店舗とデジタルを融合したシームレスな体験へと進化し、お客さまにとって最も便利で魅力ある企業へと生まれ変わらなければなりません。長年かけて構築した19,000以上の店舗網という資産。そこにデジタルのサービスを融合し、お買物だけでなく、ヘルス&ウエルネス、エンターテイメントなどの体験を提供できることがイオンの強みです。さらに約4,600万人のカード会員基盤、年間延べ40億人を超えるお客さまに来店いただいていることも大いなる資産であり、そこから得られるデータを最大限に活用することにより、魅力ある商品や独自サービスの開発につなげます。

より良い地球、地域の実現に向けて、すべてのステークホルダー、
とりわけお客さまと従業員とともに、「環境のイオン」は次のステージへ

イオンは、1990年代からいち早く、環境問題に注目し、店舗でのCO2削減や持続可能な商品調達の推進、食品廃棄物やレジ袋の削減、植樹活動の推進などに取り組んできましたが、今や気候変動や生物多様性の逸失など、環境問題に対する取り組みは待ったなしの状態にあり、世界共通の喫緊の課題となっています。
環境意識の高いZ世代が消費や労働の中心となる2030年には、環境?グリーンに対する関心やニーズはますます高まり、今後、GX(Green Transformation)が事業戦略?事業活動そのものとなるでしょう。私たちは、すべてのステークホルダー、とりわけお客さまと従業員とともに事業活動を通じて地球環境に負荷をかけない取り組みをどこよりも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
同時に、サステナブル経営の実践には、グローバルなCSR基盤づくりも継続して強化する必要があります。2004年に日本の小売業としては初めて国連グローバル?コンパクトへの参加を表明し、「イオンサプライヤーCoC(取引行動規範)」などの取り組みを進めています。また、2018年には、お客さまを含むすべてのステークホルダーに配慮した「イオンの人権基本方針」を改訂するなど、事業を通して持続可能な社会の実現を目指していきます。

イオンの成長が地域の豊かさに結びつく

2030年度の“イオンのありたい姿”とは、「イオンの地域での成長」が「地域の豊かさ」に結びつく、循環型かつ持続可能な経営を実践する企業集団です。私たちは、お客さまを「消費者」と「生活者」の2つの視点で捉えています。「消費者」としてのお客さまに対しては、独自の商品や様々なサービスを通じてお客さま満足を実現します。「生活者」としてのお客さまに対しては、地域経済の活性化や社会課題解決に向けてともに歩む存在になることを目指していき ます。また、従業員が健康であってこそ、お客さまにも健康と幸福をもたらすサービスが提供できるという考えのもと、 健康経営を企業活動の要と位置づけ、推進していきます。そのうえで、生活の核となるショッピングモールなどの地域拠点に、デジタルによる決済やコミュニティを組み合わせることにより、地域が必要とするサービスや社会資本を充実させていきます。あらゆる生活シーンで便利さや豊かさを提供し、私たちが地域になくてはならない存在となる「イオン生活圏」を創造していきます。
「イオン生活圏」という言葉には、生活者の目線を持つという意思と、地域の皆さまとともに平和で豊かなくらしをつくるという想いを込めています。小売業は、お客さまとともに存在する企業です。だからこそ、私たちの成長そのものを地域の豊かさにつなげていく、地域の皆さまからイオンの成長を期待され、そして応援していただける企業でありたい、そういった想いで事業活動を進めてまいります。

イオン株式会社 取締役 兼 代表執行役社長 吉田昭夫

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